禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻や愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

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手術翌日

2010/11/11
夜中に何度か目を覚まし、携帯に着信がないか確認する。集中治療室の看護士さんに携帯電話の番号と「今夜は、どちらにいらっしゃいますか?」と確認された時にも(やはり…)という思いはあったが、闘病関係の本やブログを読んでいても、大きな手術の後は容態急変したりする事が少なくないので、気持ちのどこかで「まだ安心しちゃダメだぞ」という思いがザワついてる。

朝7時起床、どうしてもの仕事があったので、1時間だけ会社に出た。無事に手術を終えた事も報告。高速を飛ばし、面会へ…連絡は無いので問題発生してはいないだろうが、ちょっとドキドキする。病院につくとすでにジュンは集中治療室を出て四人部屋に戻っていた。顔を見てやっと「ホッ」とする…が、まだ管だらけだし本人もヨボヨボなのでカーテンは閉め切られている。昨日より意識はハッキリしているが、麻酔が切れてきて痛みが強くなってるらしい。「やはり痛むか?」と聞くと顔を歪めながら「…痛い」と呻く。

術前から判ってはいた事だが、術後2、3日は痛みが大きいので患者は常にイライラしており、家族はそのすべて受け入れいなしてやらなければならない。「痛い」「痛いよ…助けて」「あ~もうヤダ」という声を一日中聞き続け、「どこが痛い?」「さすってやろうか?」「痛み止め切れたのかな?看護士さん呼ぶか?」と返す。もちろん患者は少しも悪くない、ホントに痛いのだからしょうがない…家族も一日一日良くなる事だけを信じ、そして身体じゅうに繋がれた管が一本づつ減る事に心から喜び…堪えるしかないのだ。でも、共に堪えているからこそ小さな回復が自分の事のように嬉しくもある。

この日は看護士さんに促され、「痛い…痛い…」と呻きながらベッドから立ち上がり、その場で足踏みまでさせられていた。術後なるべく早いタイミングで少しでも動いておかないと内臓同士の癒着や腸閉塞になりやすい為仕方ないといえば仕方ないのだが、辛そうである。早くも夕飯から食事が運ばれる…まだお粥よりゆるい重湯と汁のみの味噌汁だが、口元に運んでやると少し飲んだ…が、胃腸が動くと痛みがくるらしく、スグに「もう、いらない」と眉間に皺を寄せた。

面会時間終了のアナウンスを聞いてから病室を後にし、帰路…体が段々道を覚え運転も楽になってきた。行きは昼間なので紅葉を眺めながら気分良く走っているが、帰りは真っ暗な山形道をトラックに煽られつつの運転なので「気分良く…」とはいかない。

山形市内に入り、山岡家でラーメンとチャーハンのセットを食べた。カロリーオーバーは承知の事だが、自分へのささやかなご褒美のつもりだ。結局、病院帰りに外食というのはこの日一日だけだった…正直、入院前は毎日外食なんじゃないか?くらいに思っていたが、ゼニがひとりで留守番してる事を考えると一秒でも早く帰ってやらねばいけない気がして「ゼニを撫でながらウドンでも煮るか…」という気分になってしまうのだった。めったに行く事のできない仙台の有名ラーメン店で夕飯…とか、たまにはドン・キホーテで買い物でも…なんて考えてたけど、一度もできなかった。気持ちにそんな余裕は無かった。いつ何時、病院から呼び出しがあるかもわからないので、酒も退院するまで一滴も飲まなかった。

2010/11/12
朝7時起床、午前中出社。午後から病院へ面会に…ジュンは、術後2日痛みや管に繋がれてる不快感でほとんど寝れてないそうで、機嫌悪し。iPhoneに手は届くが、まだ見る気にも打つ気にもならないと言う…元気な時は「右手に装着してるのか?」というほど片時も手放さないので、こういう光景を目の当たりにすると(相当具合悪いのだな…)と実感する。twitterにはボクが手術無事成功の代筆報告をしたが、ブログではまだ結果を知らずに祈ってる人がいたので「ひと言、ボクからコメントしとこうか?」と聞いたが「いい!自分で書くから」との事。

昼前に看護士に促されナースステーションまで歩いたそうだ。管も減ってはきたが、まだ多い。夕飯から五分粥になったが、やはり食べると胃腸に不快感があるらしく殆ど食べられず…とても心配だ。明日は土曜日で午前中から面会に来れるから、隣で一緒に食事してみようと思う(健康不健康関係なくジュンは普段から1人だとあまり食べない)。面会時間終了のアナウンスを聞き、帰路についた。

実は、ジュンの入院前後にヤフオクで中古ギターを計3本も衝動買いしてしまった。ジュンは随分怒ったし、晩酌TVでも皆から罵られたけど、自分はしょうがないと思ってる。ボクはボクを責めない…そんなに賢くも立派でもない、どちらかというとバカな男だもの。酒や女や博打に逃げなかっただけでも上出来だと思ってる…「落ち着いたらちゃんと処分しようね」と言って、自分の頭を撫でてやりたい。もし、ボクと同じような境遇の人がいたら、このボクの愚行を話し「あなたも自分にご褒美買ってやりな」と薦めよう。自分にお金を使って、ひと段落ついたら又がんばって働いて摂生すればいいんだもの…ただし「治療費に影響しない程度に」もつけ加えなきゃな。

大きな病気と戦う患者はボクサーだ。自分を突き詰め、自分を奮い立たせ全身全霊をかけスポットライトの下で、大きな歓声に包まれながら戦っている。家族は観客席で…身をすくめ赤の他人と並び、リング上の戦いに心臓が破れるような思いをし、時には目を背け、時には息を止め、ただただ患者の無事を祈っている。周囲の人から労いの言葉があっても「あなたも頑張ってね」「ちゃんと食べてね、あなたが身体壊したら大変だから」…どれも真直ぐ自分に向けられたものではなく、患者にかけられた言葉の“PS”として添えられる程度…もちろんありがたいが、寂しさがないと言ったら嘘になる。なかには悪気なく「あなたがしっかりしないとね」「せめて精一杯癒してあげてください」という、何か咎められてるかのように感じる言葉を投げかけてくれる人もいる。

手術から6日後、抜糸(というかホッチキスだったけど)があった。抜いたホッチキスをもらっといてくれとジュンに頼んだら「何で?」と言いながら、2本だけもらっといてくれた。矢吹丈が試合後、葉子に血まみれのグローブを渡したように、ボクにとっても“一緒に試合で戦った”という実感が欲しかったのだ。励まし続け、多くを許し、共にストイックな生活を経て一緒に戦ったのだという実感が…

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