妻の希望とは「道路側の和室を改造してお店にしたい」だった。現在ネットショップとして運営している『毛玉工房』の店舗を、新しい家に併設してもいいか?というのが、妻の「田舎に移住すること」への条件というわけだ。元々、妻の為のアトリエ兼仕事部屋をひとつ設けるつもりだったので、そこを店に…ってのでもボク的にはOKなので「いいよ」と答えたが、話しているうちに2人の思い描いている店の形が随分ちがうことに気づくわけだ。ボクは、やるならバチッとリフォームして店らしい店を…と思ったが、妻はそこまでバチッとしてない方がいいと言う。しかも、場所が田舎の小さな部落だでそういう事が許されるのかも微妙そう…結局、やーのこーの話してるうちに微妙に険悪なムードになり、お互い黙ってからも良くも悪くも妄想が広がってしまい明け方まで寝つけず…
で、
ハッ!と目を覚ますと、もう会社が始まってる時間!ギャ−目覚まし止めたの誰だ(自分です)ー!と悲鳴を上げながら職場に遅刻の電話をかけ、急いで出社して平謝り平謝り…先週休んだばかりなのに、またポカしてしまった。自己嫌悪
昼食は、何も思い浮かばずスーパーに行ったが惹かれるものもなく…フラフラと先週ミックスフライで失敗した軽食コーナーで、チキンカツ定食。フライヤーの油が温まっていなかったらしく「10分かかりますけど」と言われたが、15分もかかってやっと出てきた。しかし、昼時に油が冷めてるっていったい…でも、先週とちがいお客さんは結構いた。チキンカツ定食は可もなく不可もなく。

定時退社。今日は、妻となおなおの3人で『タテタカコ』のライブを見に行くのだ!急いで家へ帰り、シャワーを浴び着替えて出発。割とノンビリな2人を早く早くとせかし、会場の文翔館へと急いだ。到着するとすでに開場されており、薄暗い議事堂に人影が見える…チケットを渡し物販の前を素通りし席に向かう…良かった、まだ前の方の席が空いてる。素早く座って、改めて議事堂を見回す…ちょっと嬉しい、以前文翔館に見学に来た時からいっぺんここでライブを見てみたいと思っていたのだ。

『タテタカコ』は、妻となおなおが今年の荒吐の一番小さなステージで偶然見かけ、いたく感動したらしく「7月に山形でライブあるんだってよ〜絶対行きたい!」なんて話になっていたのにボクも便乗したのだった。YouTubeでいくつかPV等を見たが、正直「嫌いじゃないな」くらいの感想しか持てず、でもピアノ弾き語りとかって実際見てみないと当りハズレわかんないじゃないですか?なので、賭けてみた。
意外と長めのフロントアクトが終り、タテタカコ登場。上下白系のダボッとしたシャツとパンツ、髪はベリーショートというか坊主に近く、痩せこけた頬をライトが蒼白く照らす…まるで、重病入院患者のような「大丈夫?ひとりで歩ける?」みたいないでだちだが、繊細なピアノのイントロとともに口を開くと驚くほどパワフルな声がドドドドドという感じで飛び出してきた。ヨボヨボと地べたを這うアリンコが突然パオーンと象のごとく嘶いたようなインパクトと言えば通じるだろうか?まず、そのギャップにグッとくる。
映画『誰も知らない』の主題歌であり、タテタカコの曲の中で一番耳馴染みあるであろう“宝石”、そして去年シングルカットされた“ワスレナグサ”をいきなり歌ってしまった展開にドキッ。本人の意向かスタッフの作戦かはわからないが、シングルヒットが多いわけでないアーティストが、ライブの中で耳馴染みある曲をどう采配するかというのは、実に難しい問題であり、同時にそのアーティストの姿勢がハッキリと見える部分でもある。惜し気もなく、最初から知られてる2曲を歌ってしまったということは、それでも戦えると、予備知識や付加価値といった武器なしでも客と真剣勝負できる…というか、真剣勝負していくのだ!というタテタカコの姿勢…まさしく、ファイティングポーズがそこには見えるのであるのであるのである。響いちゃったのである。
ポツリポツリと、でもちゃんと伝えたい言葉の届くMCも雰囲気よく、山形の街の印象を語ったかと思うと、スッと息を飲み気持ちを集中させ紡ぎ出されるピアノの音色は、優しく激しく、激しく激しく…ピアノ弾き語りって、リズム感の善し悪しがすごく反映されるものなのだなあ…と改めて思ったりした。すごくリズム感が良かった…伴奏もそれ(リズム)を強調するフレーズが特に耳に残ったし…気持ちのいい段丘に心動かされ、何度鳥肌が立ったことか…気づけば10余曲、決して長時間ではなかったが集中力途切れることなく聞き入っていた。オープニングアクトを称え、スタッフに礼を言い、客に…そして会場にまで深く感謝の言葉を並べ、それらが社交辞令になってないか探るように目をクルクルと動かし確認しながら伝えきると、大きなお辞儀をひとつしてステージから去って行った。
席を立ち、会場にいた半田くんと一言二言会話。半田くんはオープニングアクトの『野狐禅(やこぜん』が好きだったみたいで「レビュー楽しみにしてます」って言われたけど、ボクら全然…ていうか、いいとはまったく…思わなかったというか何というか…聞きながら、半田くんの方がよっぽどいいんなあとすら思っておったのですが…
でも、オープニングアクトって難しいよね。特に期待膨らましてメインアクトの音楽を聞きにきてる人々にとってはアレですよ、例えるなら…隣村のすごいかわいい娘の「今夜遅くにアタシの部屋に来て」という夜這いウエルカム的なアプローチを受け、胸ときめかせソーッと部屋に忍び込みドキドキしながらフトンをめくったら何故かおじいちゃんが寝てた!みたいなね「はい?」みたいな…そういう、まず違和感があありますわな。でも、それが結局朝になったらおじいちゃんと飲み明かしちゃった!とか、逆におじいちゃんと熱い夜を過ごしちゃった!とか、何か知らないけどお土産たくさんもらっちゃってウハウハで帰ってきた…という、事もあるわけですね。野狐禅の場合「おじいちゃんだったから“チエッ”と思って家帰って寝た」みたいな…手厳しいかと思いますが、ボクの印象はそんな感じでした。
最前列にいた妻となおなおが「かわいかったねー」「ねー」と戻ってきたので、物販でものぞいて帰るとかとロビーに向かったら、えらく体の大きな男性が「は、禿生さんですか?」「え…あ、はい」「あ、やっぱり…いつもブログ見てます」てんで、初対面の方としばらく談笑。以前からラーメン消化機構とか読んでくれてたそうで「どうもどうも」と握手までしちゃったりして。妻はどこに行ったかなと見回しつつ出口に向かうと、そこにタテタカコが!うおっ!律儀に客ひとりひとりに頭を下げている「どうも、ありがとうございました」こういう時、咄嗟に気の利いたことを言える人間になりたいもんだね…わけわかんないけど、親指をグッと突き立てサムアップ「良かったっすよ〜」だって、どこのアメリカ人だよオレは…会場を出るとな妻となおなおがキャッキャ言ってる「かわいかったねーすっごい華奢だったねー」「手も小さくてサラサラしてたー」「え、キミら握手してもらったの?」「してもらったよ!オトウヤンしてもらわなかったの?」「もう一回行ってお願いしてくれば?」「え、あ…いや、いいよ、ボクもロビーで握手してきたし」「え、誰と?」「ブログ読んでくれてるっていう、大きな男の人と…」「へえ…」「なにそれ」

帰りは花小路の『司』でビールと焼肉定食、妻となおなおはユッケライスで満腹満足!「タテタカコ、よかったねー」「よかったなあー」「行ってよかったよー」と3人アホみたいにニヤけつつ家路についたのであった。
あ、結局物販見れてない…

