禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻や愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

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忘れない店

年に何度か県外の友人が山形へ遊びに来てくれる。千葉に住んでた頃の知り合いとか、ネットを通じて知り合った仲間とか…そんなワザワザ足を運んでくれる友達と酒を酌み交わすのは、たまらなく楽しいものである。酒宴ももちろんアレだが飲む前や飲んだ翌日、温泉と共に「ちょっと山形の美味しいものを…」という流れで中華そばを食べに行く事が多い。山形に来るの1〜2度目という相手になら淀みなくオススメを案内する事が出来るが、5〜6度目ともなるとちょっとどこに連れてくべきかと迷う…そんな時に、半分冗談半分本気で「美味しい店と、美味しくない店どっちがいい?」と質問してみる。とりあえず今のところ「お、その美味しくない店っての興味あるなあ〜」と言い出した友人はいない。隣で聞いてたジュンなど「美味しくない店なんて行きたがる人いるわけないでしょ!」と軽くキレたりする。

とびきり美味しい店というのはもちろん良いものだし記憶に残るものだが、そこそこ美味しい店というのは意外に記憶に残らない…それに比べ美味しくない店というのは記憶にも残るし、何かと話のネタにもなってくれる。酒を飲みながら自分が体験した『美味しくない一杯』というのを語るのがコレまた盛り上がる!「ドンブリにおばちゃんの指が入ってた」「そばを頼んだのにうどんが一本入ってた」等、定番ネタも事欠かない。関西の方がよく「東京行ったらうどんのツユが真っ黒で!」というのに「そんなら食うな!」と関東の人間が逆にキレてる事があるが、あれも意外と不平不満という程のものではなく、笑い話のネタのひとつなのでは?という気がする。

チェーンのファストフードやショッピングセンターのフードコートのように、低価格であることが最優先なため美味しくなくなってるものはともかく、何十年も営業してるのに美味しくない店というのがたまにあって、これがジワジワと魅力的だったりする。ただ、どんどん無くなってるね…そういう店。ひと昔前だと「しょうがねえじゃん、あそこの店しか出前来てくれるとこないんだから」みたく生き延びてる店が結構あって、自分の街にある飲食店の半分が美味しい店、もう半分は美味しくない店…なんて構図が普通だった気がする。それが、今じゃ美味しい店が一軒残って後はファミレスとチェーンのファストフード…なんて場所も少なくない。それに比べるとまだ山形近辺は昔ながらの店が多くて、楽しめる余地が多少残っている。

この流れで店名を出すのはちょっと忍びないので、そこは濁させていただいて…県境の山を越え隣県の街道沿いにある食堂、構えは大きいが人の気配は感じず看板が朽ちてるので、玄関の「営業中」という立て札が無ければ入ろうとは思わない雰囲気。広い駐車場にクルマをちょこんと停め、ガラス戸を開けて店内へ…コンクリの床にストーブがひとつ、奥からヤカンを運んできたばあちゃんが「あら、いらっしゃい」

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やけに高めの天井に備え付けられたシーリングライトが点いてるが、店内は薄暗い…平日昼時だが、他に客の姿はなし。メニューを眺める…ラーメンに定食類、そばにうどんにカレーライス、しばし悩んでラーメン480円を注文。ばあちゃんが厨房に入ると誰もいなくなってしまったので、本棚や座敷をキョロキョロと観察させていただく。

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しばらくすると換気扇を回していないらしく厨房から湯気がモクモク…と、その湯気の間からお盆を持ったばあちゃんが現れ「はい、どうぞ」

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ちょっと雑味を感じるスープ、湿気った海苔、やけに存在感のあるネギ…まあ、普通のラーメンですよ。あまりお客さん来てないのかな?という雰囲気のある普通のラーメン。こうして文字にしますとアレですけど、全然恥ずべきところのない…注文したボクと厨房に立ったばあちゃんの間に何もない、企業理念も経営計画も過剰な期待、割引クーポン、グルメサイト…何もない!ただ、ラーメン食べてその対価480円を支払う!それだけの話しですよ。まあ、小皿の漬物は、ちょっと発酵行き過ぎて危険な個性を発揮してるかな?という感じだったので箸を引っ込めましたけど…

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店を出て外観の写真を撮っていたら、店脇の民家からじいちゃんが何か怒鳴りながらやってきた…久々に何言ってるかわからない位の訛りの強さ!にしても、この時のじいちゃんのルックスの素晴らしさと言ったら…寝癖のバランス、歯の抜け具合、ベストの着こなし…実に生命力が満ち溢れていた。生き物として強い!よくよく聞いてみると、壊れた看板があると勝手に看板の見積りを作ってくる営業マンがいるらしく「うちは看板なんかいらねえぞ!」という話しだった。ちがいますよと説明し「じゃあ、何してたんだ?」というので「いや実は今、ラーメンいただいたんですよ」「それでは、ごちそうさまでした」と告げてクルマに乗った。じいちゃんは「で?」という顔のまま見送ってくれた。ボクは、この店のこと忘れないと思う。
 
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  1. 2014/01/14(火) 02:02:02|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

コメント

>>寝癖のバランス、歯の抜け具合、ベストの着こなし…実に生>>命力が満ち溢れていた。生き物として強い!

笑。こういう場面は都会では味わえないですよね。何十年も前山形に住んでいた子供の頃の風景がまだ残っているんですね。
  1. 2014/01/14(火) 07:04:33 |
  2. URL |
  3. 冬霧 #/aa.Es9w
  4. [ 編集]

じいちゃん、中でばあちゃんから「その人お客さんだよ」って説明されたんかなあ。その時どんな顔したろうなあ。
  1. 2014/01/14(火) 17:02:48 |
  2. URL |
  3. 哲哉 #-
  4. [ 編集]

はじめまして、禿生さんのこんなかんじの文章が大好きでだいぶ前から拝見しています。

時代という流れに流されても、他人より早く潮目を探す人。
踏みとどまろうと努力する人、流されていることに気付かない人。
誰もわるくないし、どれが正解かわからない。

読み終えた後思わず「うーん。」と腕組みしてしまうこんな文章が真骨頂ですね。
これからも楽しみにしています。
  1. 2014/01/14(火) 22:19:30 |
  2. URL |
  3. セレナ #-
  4. [ 編集]

>冬霧さん
伝わって良かった!

>哲哉さん
ドラマがありますね…

>セレナさん
はじめまして、ありがとうございます。
キレイなお店で美味しい料理をいただく事だけが『良い食事』だとは思わないんですよね…そこを読み取っていただけて嬉しいです。
  1. 2014/01/15(水) 22:14:50 |
  2. URL |
  3. 禿生@管理人 #3un.pJ2M
  4. [ 編集]

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